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心に残った言葉 コメント


柴田よしき

『聖なる黒夜』 

角川書店 \2000 676ページ
2002.10.5発行


分厚いハードカバーです。そして純愛です。きっぱり!上下二段672ページ使って、語られてるのは、ひたすら愛の成就です。ええ。麻生龍太郎と山内練という二人の男の韮アという男を挟んでのね。ちょっとばかり歪んでるけど、それは仕方ないでしょう。RIKOシリーズでおなじみの経済ヤクザでゲイの山内と元刑事で探偵の麻生の馴れ初めと再会後の話です。イーエスブックスの評にあるように“思いきり”BLで、しかもかなりハードなんですが、純愛に変わりはありません。あっという間に読んでしまいましたとも。。RIKOシリーズの他にも、園長探偵シリーズ『フォー・ディア・ライフ』『フォー・ユア・プレジャー』にも練は出演しています。
・「言葉は最初の一歩さ」「言葉から逃げるのがいちばん卑怯なんだ。証拠を残さないでいようとするのは汚い」
・「俺は誰のもんにもならないけど、俺がほしいもんは全部俺のもんだ。ただひとつだけ手に入らなかったのが誠一だった。どうしてだと思う?俺が誠一のもんだったからさ」
・その暗黒は、この邪気のない愛らしいとさえ思える瞳と別の場所にしまわれているのではなく、その奥に宿っているものだった。
・「おまえって人間にとっての、何かになりたかったんだ。何か、意味のあるものに。おまえって漢の人生の一部として機能してるんだと実感できるものに」

いやー、これがBL以外の何だと(^_^;)


中西秀彦

『本は変わる!
印刷情報文化論』


東京創元社 \1400 209ページ
2003.9.30発行

京都の中西印刷の若旦那さんが書いた本。堅そうなサブタイトルなんですが、ロマンが詰まった本なんですよ。なるほど東京創元社から出てる本だけあると妙な感心をしました(^_^;)後書きの「なんとなくSFのにおいがするのに各所で気づかれたはずだ。」で、ぽんっ そっか、なんか懐かしい気持ちになったのはそのせいかぁ(^_^;) オンデマンド版小松左京全集についてなど、みょーに詳しくて楽しいです。 「オンデマンド印刷」というスタイルは個人的にもとっても興味がある分野ってこともあるのですが、少なくとも本が好きな人間なら、読まずにいられない。
インターネットとメールが活字を駆逐せんばかりのご時世だからこそ、印刷→本というものについて考えてみたいこと知っておきたいこと、知らなかったことがたくさんありました。
現場ならではのドタバタが面白うて、やがて、しみじみと…なるほど、現場の人間が書いた本だわ。
・ちょっと構えて言えば、「言論の自由」は、DTP革命を経て初めてすべての人のものになったと言っていいかもしれない。
・しかしそれでもオンデマンド「印刷」なのだ。本は本自体に意味がある。装丁はもちろんのこと、表紙のクロス、内部の紙質に至るまで、本はどれひとつとっても編集者の矜持が詰まっている。本は情報価値だけではない。ものとしての質感から、本は逃れることができない。いわば本は、デザインから紙質に至るまでが「本」という作品なのだ。(中略)本はひとつの物理媒体であり、一冊の本の中に、作り手のすべての思いを凝縮できる。
オンデマンドは、紙の本を作る者である以上、その作り手の重いまでも再現することが可能だ。

・納期に追われながらも表紙を作って奥付を記入するとき、中の情報が固まり体系化されるのを私は肌で感じる。どんな大衆的な「本」であろうと同じである。
すごく熱くておもしろかったので、中西さんの著書を続けて借りてきた。こっちもうふふ〜(^^〜 
しかし、印刷の現場がこんなに変わってたなんて……
『印刷屋の若旦那コンピュータ奮闘記』印刷学会出版部 \1200 179ページ 1998311.10発行  『印刷屋の若旦那コンピュータ奮闘記 Part2』印刷学会出版部 \1200 183ページ 2002.7
10発行 



斎藤美奈子

『文学的商品学』

紀伊國屋書店 \1600 252ページ

2004.2.23発行

作品に登場するモノやその描写を通して小説を読んでみようという試みの書です。
とにかく楽しいです。日曜日借りてきて、あっという間に読んでしまったです。
で、月曜日には○日新聞の書評欄にどーんと取り上げられてました。わははです(^O^)
どんな本かは、私がとやかく言うより、目次を見てもらう方が早いですね。
…………………………………………………………
1★アパレル泣かせの 青春小説……田中康夫、庄司薫、村上春樹など
2★ファッション音痴の 風俗小説……渡辺淳一、丸谷才一、金井美恵子など
3★広告代理店式 カタログ小説……森瑶子、林真理子、宮尾登美子など
4★飽食の時代の フード小説……村上龍、辺見庸、清水義範など
5★ホラーの館 ホテル小説……川端康成、山田詠美、村上春樹、浅田次郎など
6★いかす! バンド文学……大江健三郎、村上龍、大沢在昌、芦原すなおなど
7★とばす! オートバイ文学……片岡義男、丸山健二、花村萬月、乃南アサなど
8★人生劇場としての 野球小説……井上ひさし、阿久悠、高橋源一郎など
9★平成不況下の 貧乏小説……町田康、角田光代、林芙美子、群ようこなど
…………………………………………………………
某不倫小説のヒロインのファッション描写も、一言、いや二言で斬って捨ててます。
>@服がダサい、A文章に愛想がない
くっくっくっ。そうなのよね。私が某大家殿をイヤなのは、文章を読む快感が全然感じられないからなのよね。報告書読んでんじゃないんだからさぁ。もうちょっと細部を描写しようよぉ。単語並べりゃいいってもんじゃないのよ。
なぜ細部が大切なのか、
・書くことでも読むことでも、あらゆる知的な作業には、人間の尊厳を取り戻す力がある。
・ただし、それ(一人称小説)が人の心に訴えるかどうかはまた別の話。『ホームレス作家』が読む人の心を動かすとしたら、「事実の重み」ゆえではなく、「事実の抽出」に優れているからです。そして、優れた作品は、必ず「パンの描き方」に秀でています。
()
なぜ「書くこと」で人は困難を乗り越えられるのか。感情をぶつけられるからではなく、冷静に客観的に事故と周囲を観察する機会になるからじゃないのかな。その意味でも。表層の表現はけっして枝葉末節ではないのです。
庄司薫や片岡義男が久しぶりに取り上げられていて、それも嬉しかった。
この二人の小説は行き方は逆だったけど、小説を読む快感を大いに与えてくれたのよねぇ。
ただ、その分、読むと文体にすごく影響されてしまうところがナンだけど。



池澤夏樹・文 
垂見 健吾・写真

『神々の食』 

\1714 154ページ
2003.8.10発行

沖縄の食の現場・三十五景。食の伝統を支える人々と南国ならではの味覚の数々を豊富な写真入りで紹介した本です。タイトルの由来は「食べ物を作る仕事は、本当は、神様の仕事に近いのかも知れない」ということから。 ちと邪な理由で読破。えーと、その〜です(^_^;) マンゴーのことを書いた「最も贅沢な果物」の章なんて特にね。
でも、純粋に文章そのものも楽しめます。書き出しの一文に、ぐっと引きつけられ読みやすいのだけど、あくまで上品。そこには愛と敬意があるんですね。
・大袈裟な言いかたになるが、人の口に入るものを用意する際の基本は誠意である。怪しいものを供してはいけない。
・人は関心があることには詳しくなる。逆に興味がないことには知識の方も大雑把になる。

アーウィン・マンゴー(アップル・マンゴー)についての章がとっても楽しかったです。
・芳香が強く、果肉の舌触りがいい。味が濃い。一口食べて全身が快感にひたったところへ、たっぷりとした甘みの幸福感が追い打ちをかける。遠慮がちなところがなく、堂々としている。おいしいというのは私のことを言うのだよと威張っている。こちらは、まことにそのとおりですと平伏せざるを得ない。それぐらいうまい。 


鹿島茂

『関係者以外立ち読み禁止』

文藝春秋 \1619 227ページ 
2003.4.10発行
いやー笑えた。楽しめた。でもって、ちょっとばかし考えさせられたです。
・フィクションというのは、常に、精神衛生上の利点ゆえに発生するのだ。
ところが、まことに興味深いことに、いったん成立したフィクションは、現実よりはるかに強く人間の心を規定するようになるのである。なぜなら、それは、この世に存在しないイメージであるからだ。この世に存在しないがゆえに、それは絶対に破壊することはできない。否定しても否定してもそれはターミネーターのように再生する。

「恋は結婚の後で」で、名香智子さんの美女姫シリーズのセリフ「自分の妻に恋するなんてヘンタイだわ」というセリフを思い出してしまった。
「シェーンは帰らない」の章でも、へんなとこに目がとまってしまったのだけど…
あの「シェーン」て、 Shaneと綴るのよね。ということは、あれ、もしかして、シャンクスって、アイルランド系?ケルト系?そういや、あの民族は見事な赤毛と碧の瞳と、ストレートな人となりで有名だし(^_^;)

昨年の記録は、こちらです。

このページの壁紙とアイコンは、「アレックスのしっぽ」様から、いただきました。

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