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   05.3.1

きたみりゅうじ

『SEのフシギな職場』

技術評論社 254ページ \1480 
2002.12.7発行



気分的にズタボロになったので、これを〜「ダメ上司とダメ部下の陥りがちな罠28ヶ条」というけっこう刺激的なサブタイトルの本。一見業界用のビジネス書に見えますが、確かに業界の人が読むともっと面白いんでしょうけど、業界の人だけに独占させとくのはもったいないです。部下とか上司の立場に立ったことがある人なら誰でも、いや親や子の関係も含めて他人と関わったことのある人なら、深く深く肯くしまいそうです。前作がとっても面白かったので、もう一冊。今度は乗り遅れて次の汽車を待つ間に読了。
そーしーてー、 ちょっと、大いに反省しています。そうだよな〜文句言うばっかだったよな〜自分〜ちゃんと問題点見つけて、具体的に対応していかないと、いつまでたっても問題は問題のままだよね。
筆者のHP、「R's Factory」から引用させていただくと。「SE業界における「上司」と「部下」、そのあるべき姿についてをトホホな体験談をもとに学ぶことができる本」。はい、学ばせていただきました。問題だと思ったら、ちゃんと言おうと。先がない上司はもーどうしようもなくても、せめて部下(というか年下の人)にはちゃんと伝えていかなければ、いつまでも問題は問題のまま残っちゃいます。そうして、後から来る人が迷惑するんですな。あら、あら、なんか子育てに似てますね。
ここらに、特にぐっさり〜 そして共感〜
・社会に出てはじめに学んだことは 「人はイイんだけどね」と言われる人が世の中にはいっぱいいるってこと そして、そんな「エセいい人」ほど いざって時 すぐに逃げ出すってことでした 心の木が弱い人ほど 見かけのヤサシサで自分を守ろうとするようです
・人間何が疲れるかって、「やっても意味のないことをやらされる」のが一番疲れるのです。ですから言われた側は、自然と「また話をひっくり返すんじゃないか?」と助走するのをためらうようになってきます。助走しながらも、やっぱり不安がありますから、作業に没頭するまではいきません。そうすっと、当然作業効率って台無しになっていくものなのです。「状況が変わったんだ」とか偉ぶる前に、そうした損失があることは強く意識しなきゃいけません。
・現場には確実に現場なりの経験則が存在します。それを理解せず、ただマネジメント上の単純計算のみで物事を量ろうとすること。それは人を「単純作業をするだけのロボット」と同じように見なしてしまっているということです。そんなわけないですよね? 人なんてそんな単純なものじゃないですし、私たちの仕事もそんな単純なものじゃありません。それは、監督すべき上司こそが本来知っておかなきゃならない鉄則だと言えるのです。
  05.1.25

竹西寛子

『陸は海より悲しきものを』
歌の与謝野晶子

筑摩書房 204ページ \1900 2004.9.20発行


与謝野晶子論です。「いさり火は身も世も無げに瞬きぬ陸は海より悲しきものを」からとったタイトルに惹かれて手にしました。(『みだれ髪』からおよそ二十年後の歌集『草の夢』中の歌)ちょっと意外な感もある組み合わせです。竹西寛子さんは、端正で品のある文を書かれる女流の典型。王朝の歌人論を多く著されています。そう、「○人画報」とか「ミ○ス」とか、誰が見ても危なげのない雑誌でよくお名前拝見します。そういう方の中にも哀しみはあって、他者の想いに感応する―― それに打たれたですね。「なぜ自分は艶麗(えんれい)な晶子歌より、その嘆きにこそ執着するのか。」という問いを立て、その思いを解明していこうとする真摯さも。
青春の激情が過ぎても人生は続いていく。そして、与謝野晶子は長い人生、色々な荷物を背負って、けれど決して生きること=生活することを捨てなかった。そういう意味では、たくましい人でしたね。筆者は「あらわに過ぎよう」といったんは言う歌。けれどあらわに無防備に己をさらす晶子の姿勢が人を引きつけるのも確か。ある意味『みだれ髪』の豪奢よりも。だからこそ筆者も惹かれたのだろう。
・幼年の素直と長じてからの素直は一律にゆかないところが難しい。難しいけれど表現は、常に事や物に対する素直を求めている。
・上等の素直の根には、知に支えられて恐れがあり、人の限りについての自覚が、公平への無意識の意志となって潜んでいる。
・読みは、言葉に定めてはじめて自分のものになる。・一方的な愛着だけでも、批判だけでもものはつくれない。よい表現にはいたらない。表現の苗床は事物への愛着であり、その愛着をひとり立ちさせるよき伴侶は汚れていない批評精神である。

昨年の記録は、こちらです。

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