著者名
タイトル 出版社 値段 ページ数
心に残った言葉 コメント


田口ランディ

できればムカつかずに生きたい

晶文社 \1400 284ページ
・人は関係のために生きるのではなく、生きるために時々関係するのである。シーツを手放したとき、本当に出会うべくして、人は出会うのだから。
・やって来るものを受け止めながら手放していけばいいんだよ。どんなものでも自分にやって来る物はプレゼントだ。受け止めて手放せばいい。
・誰かのために生きても見返りは少ないどころか、かえって恨まれる。
・人を呪わない言葉を話す。そのためにはまず、自分が呪いから解かれる必要がある。
トップページにも書いたけど、やっぱり、この言葉は身にしみた。こんな風に言ってもらえてたら、ずっと楽だったろう。シーツが何かについては、実際に読んでみてくださいね。
人を呪わない言葉を手に入れ、呪いを後から来る者に伝えないことが大切なのだと思う。
私は、どこまで、呪いを解けたのだろう?


鷲田清一

ことばの顔

中央公論社 \1700 261ページ
・じぶんばかりを見つめるじぶん(中略)こういう自己閉鎖、じぶんの尾を食う蛇の姿に似ていなくもない。じぶんを呑み込みながら消滅してゆくあのウロボロスの蛇に。
・生きる上でたいせつなことは、しかし、分からないものに囲まれたときに、どう処するかの知恵であろう。
・意味のあることしかできないという無能力もあることを忘るべからず。
整体の先生に言われたことが、くさっと残っているうちに、この本を手に取ったのは、偶然?それともシンクロニティ?


田口ランディ

癒しの森
   ひかりのあめふるしま 屋久島

ダイヤモンド社 \1600 235ページ


・いま思うと、私は人間の心の深淵をのぞき込むことにあきあきしていたのかもしれない。「ひたすら心をつきつめていっても、心には至れない」そんな限界を感じていたのだった。
・私は自分のために生きたい。たとえ私の家族が私の事だけを考えて、私だけを愛してくれたとしても、私はそれに感謝しながら私自身のために生きる強さが欲しい。
そうなのだろうと、この言葉は心に刺さった。
心をじっとのぞき込んでも(自分のであれ、他人のであれ)底など、無いのだ、多分。深い井戸の中をのぞき込んで立ちすくむだけでは、前へは進めないのだろう。


駒沢敏器

地球を抱いて眠る

NTT出版 \1700 270ページ
・いまここにいるのはあなたが求めたことであり、それを必要としたからなんです。
・「答えを手に入れたい」という欲求は、人間が本来的に成長したいと願う欲求と、苦しさを越えて早く楽になりたいという欲求の紙一重の部分にある。
・「イルカに癒されたと信じて感動している人は、癒された自分のことしか考えてない場合が多い」
ニューエイジっぽい臭みが気になったけれど、無視することもできない。小指の逆剥けのように気になる部分を含んでいて…


田さよ子

『依存症』

文春新書 \660 190ページ
・自分で自分に克つとはどういうことだろう。それは絶えず現在の自分を否定するということである。
・あることばが世に受け入れられる背景には、かならずその言葉を待っていた人たちの存在がある。別の言い方をすれば、その言葉によって名付けられる必要のある一群の人たちの存在がある。その言葉が刺激となって、今まで表面化しなかった現象がようやく名付けられて噴出するのだ。
うーん、まさしく目からうろこ。
アルコール依存自体ここ200年ほどの問題で、資本主義とか近代社会の在り方と深く関わっているという指摘に、はっとさせられた。
名前があったから生じたのではない。既にそこにあって、隠されていただけのモノが表面に出てきただけなのだ。


西澤保彦

『依存』

幻冬舎 \1800 486ページ
学生四人を中心とするミステリ・シリーズの最新作です。
書き下ろし、400字詰め原稿用紙1139枚分 おまけにハードカバー
あらすじは、西澤保彦ファンクラブを、参照してください。
http://www.studio-rose.com/nishizawa/
シリーズものは順に読んでいきたいという方は、『彼女が死んだ夜』(角川文庫で再刊されたばかり)から、どうぞ。
・ひとは、なぜ妄執にとり憑かれるのか。それはもしかして、この世には絶対に自分の手に入らないものがあるという、厳然たる事実を認めるのが嫌だからなのか?
・そこにタカチがいる。タックがいる。先輩がいる。この歓びは、何かの代償のためにあるのではなくて…そう。ただその一瞬一瞬を慈しむためにあるんだ、と。
・「近頃の若い者は―」の後がどう続くのか判るかい?「苦労を知らない」さ。もうひとつ付け加えれば、「自分とちがって」ってね。
タイトルから想像か付くと思うけど、暗いです。ライトじゃありません。でも、、ずっしりした読後感が!
今回、いわゆる脇役タイプのウサコの想いが核になります。

森達也
監修デーブ・スペクター

『放送禁止歌』

解放出版社 \1800 191ページ
・…結局、言葉に罪はないんだよね。使う人の意識の問題なんですよ。
・大切なのは知ることだよ。見て、触れて、感じることなんだよ。
知らなかった。ぼーぜん。こんなにも多くの歌が放送できない歌だなんて。それも、正確に言うと、禁止権限なんかないのに、どんどん自主規制されているなんて。何故だ?


町田多加次

蔵原伸二郎と飯能

『蔵原伸二郎と飯能』刊行委員会刊 \1714 257ページ

出版コード ISBN 4−87891−354−1
リクエストを聞いてくれそうな図書館が近くにある人は、リクエストしてね。
・ただ人間の根底から見る眼を見開き、己の弱みだけを武器として、うたったか、うたわなかったか、によって“現代詩”であるかどうかは判定されなければならないだろう。
・私に徹することが、逆に新鮮な普遍を生み出す。人を深く撃つ。
・ただ“凄まじい人生”を私は見たのだ、というより他ない。
町田さんという方は高校時代蔵原に出会い、詩を書き始め、蔵原の最期を見、蔵原の詩の紹介にひたすら尽くしてきた人です。
最晩年の『岩魚』が認められたことといい、蔵原という詩人は実はとても幸せな詩人だったのかもしれないとしきりに思う。


斎藤環

社会的ひきこもり

PHP新書 \657 222ページ
・「成熟」の過程で欠かせないのは、この「外傷の体験と回復」というセットなのです。そしてこのセットを可能にするのが、まさに「他者との出会い」にほかなりません。ただ傷つけられる一方では、他者の外商的な恐ろしいイメージしか残りません。しかし、他者の支持によって癒されることを経験すると、「ただ恐ろしいだけのものではない」というより正確な他者イメージが獲得されるでしょう。 反省。確かにお説教では人は動かんですわ。年寄りはとかくお説教が好きなもんだから。気を付けよう。
速見由紀子

家族卒業

紀伊国屋書店 ¥1600 226ページ
・アイデンティティは、国家や民族、そして血縁関係や「運命」という偶発性によって与えられるものではない。自分が考え成し遂げてきたこと、出会った人々によって自己を相対化し、自己肯定が獲得できたとき、その確かな肯定感こそが本当のアイデンティティなのです。 自分ではない他人、出会った人々は、自分の輪郭をはっきりさせてくれる。その差異を、厭わず受け入れることができたら…どんなにいいだろう。
橋本治

天使のウィンク

中央公論社 \1900 302ページ
・努力というのは、矛盾という籠の中でグルグルと輪っかを回し続ける二十日ネズミのようなものである。そんなことやってて、籠から出られるのか?ーとも思う。しかし、自分を閉じこめる籠の正体が矛盾なら、それがそのままであり続けるはずはない。矛盾は、その崩れる必然によって矛盾なのである。 東大安田講堂とセットに語られることの多かった頃から三十年余。思えば、この人は、ずうっと変わらなかった。常に、自分に正直で、自分をごまかしたりしなかった。
笹野裕子

今年の夏

空とぶキリン社 \1500 83ページ
・春の遅い午後 咲いてもいないのに 私を見つけた人に 私のなまえを 聞いてみる(「名前」より)
・空洞がなくなったとか、詩によって埋められた、とは違うねんよ。空洞は形や大きさを変えてわたしの中にまだ安ねんけど、でも、それを抱えたまま歩き出せるようになってん。
(「あとがきにかえて」より)
詩の引用を横書きでというのは、無理がありますが。作者の形にあったステキな詩なんです。
長山靖生

妄想のエキス

洋泉社 \1600 238ページ
・自ら所有していないものを捨てるのはやさしい。それはなんの痛みも伴わず、またなんの意味もないからだ。 気を付けよう。自分が平気だからといって、他人に何かを強制したりしないように。とくに、より良きことという大義名分を言い訳にしてしまわないように。
小浜逸郎

これからの幸福論

時事通信社 \1700 238ページ
・相手に言葉を投げかけることは、言っても言わなくても真実や事実としては同じだった状態をただ言い表してみることなのではない。「言う」以前の関係の状態を「言ってしまった」以後の関係の状態に帰るために決定的な第一歩を踏み出すことなのである。 言わなきゃ始まらないということは、よーく分かってはいるのだけれど。「言ってしまった」以後の関係に変えるコトってなんてしんどいんだろう。

inserted by FC2 system