『イノセンス』

                                           2004.3.22


上映館は、キャパ60人の小ホール、なんですが。あの、見事にオトコばっかりなのは、なぜ?開演直前になってアベックも二組入ってきましたが…女性向きにオッサレーな映画として売り出したんじゃないのか?鈴木プロデューサー、キャンペーン成功してませんよ―^^;
しかし、すごいとしか言いようがない……某サイト様の日記で「あちこちですげーの声」と書かれてましたが、そうだろうなぁ。これは。アニメには詳しくない私でも、すごいと思うもんねぇ。
うーん、と10年前の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は、と思い出そうとして愕然。私、見てませんよ、この映画。10年前… そういや、滅り込んでた時期だわ。でも、前作見てなくても大丈夫です。ちゃんと楽しめます。

人間が電脳化され、肉体も機械化が進んだ近未来を舞台に、少女型ロボットの暴走事件の真相を、主人公の刑事バトーが解き明かす。(by YOMIURI ON LINE)というお話です。でも、ストーリーだけを語ってはいけません。これは、アニメ。ストーリーは絵と動きと一体になって初めて、1つの作品になるのですから。 正直ストーリーだけを言うなら、そんなに目新しいとは言えませんよね。ある意味古典的過ぎるテーマだし。「人間は何故、自分の似姿を造ろうとするのか
http://www.asahi.com/offtime/movie/TKY200402280221.html

まず、絵の情報量がすごいです。
これは押井監督自身も言ってるけど、アニメの場合、キャラクターと背景とでは情報量が段違いなんですよね。CGを使っているから云々じゃなくて、本当に実写映像には不可能な領域に達している。それは、「アニメでもここまでできる」じゃなくて「アニメだからこそできる」ということだと思います。実写に追いつこうと一生懸命実写をなぞってるうちは、現実の模倣にすぎないのでは?
「アニメにしかできない」方へと方向転換することによって別の地平を開くことができるのではないか…… 夢見てしまいます。

言葉の使い方も好きです。意味と漢字とフォントが三位一体になってて、ぞくぞくするような効果をあげています。「チャイニーズゴシック」という背景に、浮かび上がる漢字。古代、文字は呪だったというのを実感。古代よりの感覚が甦るような。
この言葉のセンスは… 真崎守に通じるものがあるような… 真崎守も、独特の書き文字でテキストの中身以上に物語を語らせていたっけ。
人間と物、現実と虚構、人間と人形。現実と電脳…… 相対立する2つと片付けてしまうわけにはいかない。ほとんどが義体であるバトーを見ても分かるように、これら両者は接近し侵蝕しあい、分かちがたいものとなっている…

一番印象に残ったのは、実は建築です。そして、鳥や飛行機などの飛ぶものの造型。
特に北端の街=エトロフ特区のそれ。バトーたちが空からエトロフ特区接近していく時には息をのみます。そして、宙に浮くディスプレィの黒と黄色の美しさ。
あちこちに散りばめられたガジェット。散乱するそれには、もしかしたら人物以上に力が入ってるかも〜
ここに、何かまったく新しいものがある、と思いました。多分それは、私にはもう追いきれない感覚、かもしれない。でも、その美しさは分かる…

人間で好きなのは実は、検死官のおねー様なんですが(//v///) 
彼女のファースト・ネームはもしかして、ダナでしょうか?ダナ・ハラウェイ?
ガブリエル、というかガブちゃんがまた可愛い♪ 街中に散乱するガブちゃんのイメージは、もしかして人間に最後に残された絆を示しているのかしらと思ってしまいました。ガブちゃん、もしかしてパンドラの箱?

あちこちの雑誌でも特集が組まれるように。とりあえず「SF Japan」は買いですかね。「アスキー」にも惹かれるんだけど。アニメ雑誌は、どうなのかしら。特集はもちろんあるんだろうけど、切り口はどんなかな。

『イノセンス』絡みで開催されている「球体関節人形展」
3月21日までで終わっちゃったんですね。
急逝した天野可淡の作品も出品されてるそうで、行きたかったんだけどな。
こういうとき、地方は悲しいです。

某A様のサイトで『イノセンス』について、
>ジブリとはベクトルが正反対の方向に向かっているようですが、
うん、同感。ジブリはねぇ、監督個人の意図はともかく、新保守主義に利用されている気がするんですよね。
私も、こちらを支持するな。失われてしまったからには失われるだけの理由があったんだろうし、失ったものを惜しむだけでは再生にはつながらないと思うから。いや、回復しなければならないというなら、よっぽど慎重にやらないと…

付:monoマガジン2-2号 岡田斗司夫の新オタク日記11/26の項からメモ〜
作品というのは「さくひんそのもの」ではない。作品から自分が受けた印象が「作品」なのだ。(中略)
同じマンガを読んで僕と大月(隆寛)さんの感動が違うのは、それを読み取る心(価値観や人生観)が違うからであって、だからこそ読書であれ映画鑑賞であれありとあらゆる芸術体験は「読者の個人的な体験」にしかならない。私たちが素晴らしいものや感動的に詰まらないものを見たときに、他者に語りたくなるのは「感動」というのが上記の理由で本質的に孤独なものであるからだ。




『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』

                                           2004.3.18


昨日は痛む腰を抱えて『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』を見に行きました。
水曜日で千円の日だったので。
毒をもって毒を制すというか、かなり自棄だったのですが(^_^;)
これが笑えたんですなぁ。「ギターを抱いた渡り鳥」劇画版というか、。
しかし、ジョニー・デップ…
某所で「娘の情操教育のためにこれからは役を選ぶ」と言ってたと言うのですが。
でもって、「選んでコレか」とも言われてたんですが、そら言われてもしやーねえべ。
ぱぱ・ディップ。少々どころでなく偏ってますよ。シュミが。
うなされますよ、娘。B級越えて怪作ですもんね。 
まぁ、それを楽しんできたお前は、と言われたら、笑ってごまかすしかないのですが(^_^;) 

ネットの批評見たら――
「決めの絵を取るだけのためのような展開」とか
「人間が飛ぶ! ぶんぶん飛ぶ!」とか、もう皆さん、よく分かってます。
火薬もハンパじゃなくて、女も容赦なく吹っ飛ばされるんですが(^_^;)
音楽…ギターが咽び泣いてますし。
撃つときだけでなく、弾倉換えるときさえ一々かっこつけてますし。
いやー、間違いなくB級(もしかしたらC級か)なんだけど、楽しそうに演じてるのよね。どの俳優も。

そういう意味じゃロドリゲスはすごい監督なのかも。確かもう亡くなったけれど『グロリア』のジョン・カサベテス監督も彼の映画に出たいと俳優から熱望されていたとか。メジャーとかB級とかじゃなしに楽しいかどうかが基準になることってあるのよね。

で、サルマ・ハエック!
ホントに炎のような女だわねぇ。美貌もナイスバディも。
できれば、彼女を死なせないでほしかったわ。
しょっぱなのアクションなんて、なまじな男よりずっとスゴイ。
これ、前作に及ばなかった理由は色々あるだろうけど
(1つは間違いなく『パイレーツ・オブ・カリビアン』ですね。
 あれでディップ売れすぎました。
 彼をメインに押し出そうとしすぎて、話がとっちらかってます)
でも、もしかしたら、
カロリーヌ(サルマ・ハエック)を殺しちゃったからじゃないかしらン。
おかげで、バンデラスてば、ずーーっとめそりとしてるし。

これを見るときは、とにかく頭空っぽにして見てください。そしたら、絶対楽しめます。


2003年の「本以外のこと色々3」

このページの壁紙は、CoolMoon様から、いただきました。

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